歩く時に装具を外せるかどうかの判断って?
当店を利用させる脳卒中後遺症の方によく「いつになったら装具がはずせますか?」と聞かれることがあります
入院中に装具を購入したが、着けてる本人ですら、何故つけてのかわからない!
入院中にどうなったら外せるのか教えてもらってない!
今回は装具を外せる条件の一つを紹介したいと思います
装具をつける意味
装具を着けていれば、そのうち歩き方も装具なしでも歩けるようになると思っている方も少なくないのではしょうか?
しかし、それは大きな間違いです
装具の役割
外部から身体を支えて、関節の動きを制限したり保護したりすることで、患部の保護や補助、変形の防止、運動の補助、疼痛の軽減などを図ることを目的としています
あくまでも、サポートや予防です
装具を外すと歩きづらさは出てきます
さて、装具を着ける理由はいくつかあります
- 膝折れ予防
- 足が上手く着けない
- 装具で固定して麻痺した足に体重の乗せられるようにする
- 歩くとつま先が引っかかる
なかでも多い原因として足の内反尖足です
この内反尖足は当事者だけでなく、セラピストにとっても悩みの種です
・足が真っ直ぐつかない
・体重を乗せるのが怖い
・足が着いてる感じがない
内反尖足があると体重を支えることができず→怖い→杖がないと歩けない
てなことになります
そして、「足首を捻らないように装具をつけましょう」ってことになります
今回は、内反尖足について、原因、ストレッチ、自主トレを紹介します
内反尖足とは
内反尖足は足裏が内側を向く状態とつま先が下に下がっている状態です
足の変形が2つ組み合わさった状態で、歩行や立っている時につま先が上がらず、足裏がしっかり地面につかなくなってしまいます
本来であれば、歩行時に足の外反+背屈が起きることが理想です
内反尖足とは真逆となります
どうしてなるの?
主たる原因は、脳の障害によって生じる運動制御ができなることにあります
内反尖足でも歩行は可能ですが、長期的にみると関節や筋が硬くなったりといろいろな問題が生じてきます
1.神経の問題(筋緊張)
脳の損傷によって、脳からの命令が筋肉へ伝わりにくくなると、神経の流れの構造的な問題から逆に筋が収縮しやすくなりやすいです
自分の意思とは無関係に力が過剰に入りすぎてしまう状態で、コレを筋緊張の亢進といいます
例えば、ベッドに横になると足がピーンと伸びてしまうのも神経の問題です
2.筋の問題(筋短縮)
筋肉は短くなったり、伸びたりとゴムのような性質を持っています
コレが同じ姿勢を取っている、常に装具を着けていると筋肉が伸び縮みする機会が無くなり、物理的に筋肉が短くなります。コレを筋の短縮といいます
3.関節の問題(関節拘縮)
関節は筋肉や腱、関節包などの軟部組織で形成されています
関節を動かす機会が減ると関節自体が動かなくなります。コレを関節拘縮をいいます
筋短縮と違い関節拘縮の改善には非常に長い期間の治療で、場合によっては徒手的に改善を図るのが難しいこともあります
セルフチェック
麻痺側上に脚を組みます
そこから図のように、つま先を反らせて見てください
チェックpoint
・ゆっくり(抵抗感があるけど)だけど、つま先が反れる→ 筋緊張
・つま先が全く反らない。ビクともしなければ→ 関節拘縮・筋短縮
*関節拘縮と筋短縮はどちらも関節の動きを制限しますが、原因となるものが違います
内反尖足に対してのストレッチ
セルフチェックにて鑑別できたらストレッチをしましょう
*注意点ですが、過剰なストレッチは逆に痛みや力が入りやすくなるので気を付けてください。息が止まるぐらいストレッチしないようにしてください
内反尖足に対しての自重トレーニング
ストレッチをしたら、今度は実際にご自身の体重を使って鍛えて見てください
タオルやゴムチューブを使った練習は、よけいな場所に力が入ったりするので、まずはご自身の体重を使った自重トレーニングがおすすめです‼
さいごに
関節拘縮や筋短縮が起きるとそもそもの麻痺の改善が難しくなってきます
なるべく早くから、ご自身での管理(ストレッチ、トレーニング)が必要です
ストレッチやトレーニングも個人差があるので、リハビリスタッフとの相談をしっかりすることが大切です