歩く時に足指が曲がってしまう方

脳卒中後遺症の一つとして、足の筋緊張が強くなる方が多くいらっしゃいます。
足の筋肉の緊張が高くなると立ったり、歩いたりすることが難しいくなります。

利用者さまからもこういう声もよく聞かれます。
・足首が硬く、歩きづらい。
・装具を着けてても、足の指が曲がってくる。
・座ってる時はイイけど、立つ、歩き出すと指が曲がって歩きづらい。
・バランスが取りづらい。

下の写真は、脳卒中後遺症の方にみられる、足の状態です。

今回は、足指が曲がってしまう方への当施設でのリハビリ場面と自主トレーニングの一部を紹介します。

体重を支える足のアーチ構造

2足歩行を行う人間にとって、足は地面と触れる唯一の部分となります。そのため、足首の動き、足裏の柔軟性など足の状況を良くしておくことが大切です。

足の主な役割として以下があります。

・体重を均等に分散する
・衝撃を吸収する
・立ったり、歩行時の安定性の提供する

この役割を小さな足で果たすために存在するのが、足のアーチ構造です。

アーチ構造とは、橋を思い浮かべてもらえるとイメージしやすくなります。

一見、足は平たく見えますが、橋の写真のように円弧の形になっています。
この円弧がとても大切なのです。

左:アーチ(円弧)構造  右:平らな構造

図左のように円弧状の形をなすことで、上からの圧力を左右に分散することができます。
図右のように平らな構造では上からの圧力に対して、圧力を分散することができず折れ曲がってしまいます。

そして、足には3つのアーチ構造が存在します。
① 内側縦アーチ:
  これは、土踏まずの部分を指します。
② 外側縦アーチ:
  内・外側縦アーチの破綻は外反母趾、扁平足の原因にもなります。
③ 横アーチ:
  横アーチの破綻は、魚の目、タコができやすくなると言われています。

トラス機構とウィンドラス機構

先程説明した3つのアーチの底辺を支えるのが、「足底腱膜」です。

足底腱膜は、足指の付け根から踵かけて付着している強靭な靱帯です。

アーチと足底腱膜によって体重を分散してする構造になっており、これをトラス機構といいます。

ウィンドラス機構とは?
地面を蹴って前へ進む際には、足の指が反り返ります。
その際に、足底腱膜が伸びる事によって足部アーチが高くなります。

また、足底腱膜は伸ばされるとバネのように戻ろうとします。
その作用によって前への推進力を得ることができます。

足指とウィンドラス機構

歩行の推進力を得るには、ウィンドラス機構が大切です。このウィンドラス機構は足底腱膜が引っ張られることで働きます。

図Aを見てみると、「足底腱膜は踵から足趾の付け根」に付着しています。
図Bを見てみると、「足底腱膜はアキレス腱」と連なっています。

①足趾が反り返ること。②ふくらはぎ、アキレス腱部分の柔軟性があり伸びること。この2つが大切です。
脳卒中後遺症の方で、足趾が曲がってしまうことにより、ウィンドラス機構

リハビリ場面

施術では、アキレス腱、ふくらはぎの柔軟性の確保。足部アーチ構造の獲得を図ります。

足部の問題が軽減されたあとは、動きの中で足部への荷重トレーニング等を行っていきます。

Beforeでは、足の指が屈曲しており、バランスが取れづらそうです。
Afterでは、指の曲がりが減っています。

自主トレーニング

自宅で出来る、足のマッサージを紹介します。

足指の曲がりに関しては、今回はアーチ構造からの視点でご紹介しました。
他にも様々な原因で、曲がってしまうことがあります。