滑走障害と痺れについて

はじめに

皆さんは、当然手足が痺れたことがありますか?

手足が痺れると凄く嫌な気分になります。動かさなくてもビリビリと痺れたり、手足のこわばりで動きにくくなったりしますよね。

痺れと言っても原因は様々です。首や腰の太い神経が組織に挟まれて手足が痺れることや脳卒中の後遺症で痺れることもあります。

健康状態は変わらないのに突然痺れてきて治らないという人はいませんか?それは「滑走障害」というものが関わっている可能性があります。

聞きなれない言葉ですが、滑走障害によって痺れが起きている人は少なくありません。特に、怪我や脳卒中の後にしばらくして痺れが出現する方は要注意です。

では、滑走障害とは一体どんなものなのか、説明していきます。

肩のしびれ

滑走障害とは何か

滑走障害とは、「滑りにくくなる」ということです。私たちは体を何の違和感もなく、動かすことができます。それは、筋肉、神経、骨、その他の繊維がお互いの動きを邪魔しないようにしているからです。

どうやって邪魔しないようにしているかというと、片方の繊維が片方の繊維に対し滑るように動くことで、妨害しないようにしています。

例えば、膝を曲げる筋肉に大腿二頭筋というものがあります。

大腿二頭筋は大腿骨という骨に沿っていますが、もし大腿骨に対し大腿二頭筋が滑らない状態だったらどうでしょう?

縮んだり伸びたりするたびに、骨と擦れ合ってしまい痛みが出そうですね。そうならないように、私たちの体は成り立っています。

筋肉同士も互いに滑るように間に「筋膜」というものがあります。

この筋膜を中心にお互いの滑りが悪くなることを滑走障害と呼びます。

滑走障害

滑走障害の鑑別方法

滑走障害=滑りにくくなるということでした。

ただ、滑走障害と間違われやすいものに「筋の短縮」というものがあります。

滑走障害を起こした結果、短縮位となることはありますが、原因が滑りにくさであるため、積極的にストレッチをして逆に悪くなってしまうケースもあります。

では、滑走障害と短縮の見分けは付くのでしょうか?

滑走障害の鑑別方法

上の表を見てもらうと、滑走障害と筋の短縮は症状の違いがあります。

自分の悩みはどっち?という時には確認してみてください。

滑走障害ではない気がするけど痛い、痺れが取れないという場合は神経そのものに異常が起きている可能性もあるため、かかりつけの先生に相談するか、セラピストに相談してください。

滑走障害の原因は?

原因は様々ですが、よく見るものとして

  • 怪我による軟部組織の損傷

擦り傷や筋肉の挫傷をすると組織が傷付きます。もちろん再生はしますが、周りの箇所に比べて怪我をした所は少し盛り上がってたり、硬くなってたりしませんか?それは、再生の過程で結合組織と呼ばれるコラーゲンを中心とした繊維が密集してしまったからなんです。コラーゲンは肌に良いと言われるタンパク質ですが、密集しすぎると硬くなる原因となります。

  • 動かさないことによる組織の萎縮

脳卒中などで動かなくなった手や足の関節が動かなくなることがあります。これは、筋肉、筋膜、皮膚などが萎縮して伸びることができなくなり、結果、組織が繊維化してしまうためです。

  • 圧迫による組織へのメカニカルストレス

膝や足は常に体重を支えています。この体重が片方だけに寄っていたり、部分的に集中していると、その場所へのストレスは非常に大きくなります。関節は本来隙間がありますが、圧迫され続けて間隔が狭い状態で動かしたら摩擦も強くかかってしまい滑りが悪くなっていきます。

大きく3つ紹介しましたが、どれか一つだけということはありません。2つ、3つが重なって複雑になっていることもあるため放置しておくと癖が治らなくなることもあります。

滑走障害と痺れの関係は?

なぜ、滑りが悪くなると痺れてしまうのかということですが、神経は筋肉の間、骨のすぐ横など、動く場所の近くに存在します。神経自体も伸縮性があり、滑走し合っていますが、滑走性が悪くなると摩擦の影響を受けたり、動かなくなった筋肉の間に挟み込まれて圧迫されるということも多いです。

そのため、神経に悪さをしている組織が何なのかをしっかり調べる必要があります。

どうしたら治るのか

まずは、どこから痺れているのかを見つけていきましょう。多くの痺れは、その痺れている周辺か痺れている場所よりも体幹に近い側に滑走障害を起こしていることがあります。

滑走障害を起こしている場所まで特定することができたら、滑りが悪くなっているところを軽くマッサージ少し温めるなどで変化があるか確認しましょう。

注意点として、温めた際に強く痺れが起きるときはすぐに中止しましょう。また、怪我の直後は炎症が起きているので、温めると痛みが強くなる場合があります。炎症直後は、一旦冷まして様子を見ましょう。

滑走障害を起こしやすい場所として、筋肉と筋肉の境目がありますので筋肉境目を広げるように優しくマッサージを行うと変化が得られます。

もし、痺れている場所が動かせるのであれば、マッサージをしながら軽く動かしていきましょう。

いきなり大きく動かすと痛みを伴うことがあるので、気をつけて行いましょう。

1人で行うのが難しい場合は家族様に頼んで行いましょう。

マッサージの絵

最後に

滑走障害を起こしている場所を特定することが大変なため、1人でお悩みの方は近くの医師かリハビリのスタッフ、柔道整復師などに聞くことをお勧めします。また、症状に合わせたセルフトレーニングが必要になり、一旦良くなってもまた痺れてくることもあります。それは、姿勢が悪かったり、アプローチが不十分ということがあります。

日々の姿勢や生活習慣、仕事中の癖などを見直すことも有効な手段です。

もし滑走障害で悩んでいる方がいれば、REUPにご相談ください。