元に戻らないの?変形膝関節の悩み

変形性膝関節
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皆さんは変形性膝関節症をご存知でしょうか?

街中で見かける人や友達、親戚などでO脚の人を見たことあると思います。

放置しておくと変形性膝関節症になる可能性が高いです!

その変形をほったらかしにしておくと歩けなくなります。また、膝だけでなく腰痛や股関節痛の原因になることも多いです。

今回は特に多い変形性膝関節症について説明していきたいと思います。

変形関節症とは

変形性関節症とは、関節の間にある軟骨が擦り減ったことで滑らかに動かなくなり、関節の骨などが摩擦を起こして炎症を起こし、水がたまったりする症状のことです。 また、骨棘(こつきょく)という骨に棘のような突起ができて関節が変形していきます。

最初は変形しているだけですが、徐々に痛みが出現します。歩き始めや立ち座りの時に痛みが出現し、進行すると寝ている時にも痛くなり歩けなくなることも、、、 この病態の特徴は、進行すると治らないということです。

変形性関節症には、一次性と二次性の関節症があります。

原因(一次性・二次性関節症)

変形する原因は様々です。歳を取る、太る、筋肉が衰えるなどがます。

一次性関節症

一次性は原因がよくわからない関節痛で、加齢や肥満などが原因で発症するとされています。年代では50歳以上が多く、男女比では女性のほうが多い傾向にあります。また、仕事やスポーツにも要因があり、重労働をしていた人は関節が変形している可能性があります。

特に女性の場合は注意が必要です。

変形性ひざ関節症の罹患者数をみても、男性860万人、女性1670万人と推定されていて、女性は男性の実に2倍近くいることがわかっています。

その原因は、「女性ホルモンの減少」です。骨・軟骨・筋肉が健康に保たれるには、女性ホルモンの一種「エストロゲン」が関係していると考えられています。そのため、エストロゲンの分泌量が急激に減る閉経後は、変形性関節症になりやすくなると言えます。50歳以上の女性は同年代の男性と比べてすねの骨「脛(けい)骨」で約4倍、ひざのお皿「膝蓋(しつがい)骨」で3倍のスピードで軟骨が摩耗するという報告があります。

女性に多い理由は、それだけではありません。「女性の筋肉量」とも関係があります。女性はそもそも男性と比べて、ひざのクッションとなる筋肉量が少なく、体脂肪率が高いことが挙げられます。

さらに、ジャンプ着地動作において、女性は、「ひざが内側に入るようになりがち」です。これは、変形性ひざ関節症の原因となるひざのケガをしやすいことも関係していると考えられています。

二次性関節症

二次性関節症は、怪我や病気、つまりリウマチや関節構造などの損傷によって引き起こされるものです。

炎症性疾患関節リウマチ
化膿性関節炎
腫瘍性疾患滑膜性骨軟骨腫症
色素性絨毛結節性滑膜炎
損傷疾患外傷性靱帯損傷
半月板損傷
骨折
壊死性疾患大腿骨顆部壊死
その他神経病性関節症
骨系統疾患
代謝・内分泌疾患

変形性膝関節症(タイプ別)

O脚は両膝が外側に彎曲した状態で、左右の内くるぶしをそろえても、左右の膝の内側が接しない。

X脚は両膝が内側に彎曲した状態で、左右の膝の内側をそろえても左右の内くるぶしが接しないことを言います。

変形性膝関節のタイプ別一覧

変形関節症の症状

変形膝関節症を放置していると、膝関節以外への負担が増えてしまい、骨盤、股関節など全身の歪みが生じてしまいます。外反母趾、反り腰、猫背など見た目も悪くなります。

初期症状・・・
起床後、からだを動かし始めたときに膝のこわばりを感じます。起き上がったり、歩き出そうとしたりすると、なんとなく膝がこわばる、重くて動かしにくい、はっきりわからないような鈍い痛みを感じるなどの自覚症状が現れます。しかし、しばらくからだを動かすと自然と治まるため、あまり気にならない場合が多いようです。もう少し症状が進むと、正座や階段の上り下り、急に方向転換したときなどに痛みを生じるようになります。

中期症状・・・
中期になると、しばらく休んでいたら治まっていた膝の痛みが、なかなか消えなくなります。正座や深くしゃがみこむ動作、階段の上り下りなどが、膝の痛みがつらくて困難になります。関節内部の炎症が進むため、膝が腫れて熱感も生じます。関節液の分泌量が増えるにしたがい、膝の変形が目立つようになるほか、関節がすり減って摩擦が大きくなるため、歩くときしむような音がします。

末期症状・・・
関節軟骨がほとんどなくなり、骨同士が直接ぶつかるようになります。この段階になると、初期、中期段階でみられた症状がすべて悪化して、普通に歩いたり、座ったり、しゃがんだりするのも困難になります。日常生活にも支障をきたし、行動範囲が狭まるため、精神的な負担も大きくなりがちです。

痛みが出始めたら

痛みが出始めた場合、保存療法で対応します。手術をしないで痛みを減らす方法です。

保存療法の種類

  • 日常生活指導
  • 装具療法(サポーター)
  • 薬物療法(ヒアルロン酸注射・内服・湿布)
  • 理学療法(温熱療法、リハビリ)

日常生活指導

膝への負担を減らすために日常生活を見直すことが大切です。特に、体重を減らすことはとても大切です。

体重を減らすことと同時に、有酸素運動と筋力トレーニングも大切になります。変形性関節症の場合、関節の歪みが全身の姿勢の歪みを生じます。そのため、筋肉のアンバランス、過度に使用している筋肉と使用されにくい筋肉ができてしまいます。痛みの出ない範囲で運動をすることで進行を遅らせることができます。

日常生活指導

減量、運動以外にも日常の癖も見直すことも大切です。

例えば、足を組んでることが多い。手荷物はいつも決まった方で持つ。肘掛けに寄りかかる事が多いなどです。何気なくしている癖でも、積み重なること姿勢や関節の歪みを作ります。いつもと反対側で足を組む、手荷物を持つ、肘掛けに寄りかかることで偏った負荷の軽減にも繋がるため、気づいた時に試してください。

ワンポイント

普段、足組みをしている足と、反対の足で同じように足組みをしてみて下さい。もしできなければ、関節・姿勢の歪みが生じています。左右対称で同じ事ができる事が大切です。

装具療法

「装具」は、失われた身体機能の補助・傷病の治療・変形の矯正などの目的で使用する、身体外部に装着する機器の総称です。

日本人に多いO脚では、ひざの内側に体重が偏ってかかります。そのためひざの内側の軟骨や半月板がすりへってしまいます。そこで足や靴に装具(足底板)を装着して体重のかかる場所を変える方法が用いられます。写真のような足底板を使用することでひざの内側にかかる体重を多少減らすことができます。

足底板

支柱付きサポーターは直接膝への負担を軽減するため比較的使用されやすいです。薬局、オンラインでの購入もできます。

膝サポーター

薬物療法(ヒアルロン酸注射)

関節の痛みで、よく行われるのものとしてヒアルロン注射があります。

ヒアルロン酸はもともと体の中に存在する同じ成分の製薬を使用した治療です。粘り気や弾力性を持ったヒアルロン酸をひざ関節へ注入することで、痛みの緩和や関節の滑りが良くなるといった効果が期待できます。注射だけなので短時間で完了します。

あくまでも、痛みの緩和や関節をなめらかにするものなので根本治療でありません。

注射を行い、痛みが落ち着いた状態でリハビリ(筋トレやストレッチなど)と組み合わせて行うことで最大の効果が得られます。

理学療法(リハビリ)

適切なリハビリを行うことによって、体のバランス能力が改善したり、関節のまわりの筋肉が鍛えられたりします。その結果、ひざの安定性が増し負担が軽くなり、痛みがやわらぐのです。
ひざに負担がかからないようにひざの曲げ伸ばしをはじめとするストレッチ訓練、ひざ周囲の筋肉を鍛えたり、水中ウォーキング、水泳(平泳ぎは除く)またはウォーキングなどがお勧めです。

手術

保存療法、リハビリテーションを続けても効果がなく、痛みや変形が悪化している場合は、手術療法を行います。
代表的な変形性膝関節症の手術療法には、①人工膝関節置換術②関節鏡視下手術③高位脛骨骨切り術の3つの方法があります。

人工膝関節置換術

これは傷んだ軟骨、骨を人工膝関節の形に合わせて薄く削り、金属、セラミック、ポリエチレンでできた人工関節を自分の骨の上にしっかりと固定する手術です。写真のように関節全面を人工関節にする場合、一部だけに置換する場合があります。日本における手術件数は年々増加しており、約10年で約2倍に増えています。

人工膝関節置換術

適用

  • 膝をしっかりのばすことができる
  • O脚やX脚の程度が軽い
  • 膝の内側もしくは外側のみが痛い
  • 関節リウマチではない
  • 高度の肥満ではない
  • 膝の靭帯には異常がない

メリット

手術の中では最も痛みを取り除く事が可能です。

リスク

・関節のゆるみ

ゆるみの原因として体重の増加があります。変形性膝関節症の原因の多くは肥満が関係しますが、術後も重要になってきます。

・関節拘縮

手術後に、熱感、腫脹、痛みよって関節を動かさない期間が続くと関節周辺組織が硬くなります。せっかく手術しても膝が曲がらない事があります。リハビリスタッフと相談しながらしっかりと関節を動かしていく必要があります。

・脱臼、骨折

人工関節部分は頑丈ですが、その他の骨、筋肉の部分は加齢や活動量の低下によって、衰えてしまい転倒に繋がります。転倒により人工関節周囲の骨の骨折、膝蓋骨(膝の皿)の骨折・脱臼が起こることがあります。

膝の手術後

②関節鏡視下手術

膝の皮膚の一部を切開して関節鏡を挿入し、軟骨の破片を取り出したり、軟骨の表面をなめらかにしたりするなどの処置を施します。

関節鏡を挿入するために皮膚を6㎜ほど2ヵ所切開するだけなので、傷口は小さく、患者の負担が少ないのがメリットです。入院期間は3日から1週間ほどで、手術の翌日から装具をつけて歩けます。

③高位脛骨骨切り術

膝関節の下にある脛骨の一部をくさび形やアーチ型に切り取って、膝への荷重のかかり方を矯正し、関節にかかる力が均等になるように調整します。特に、脛骨に歪みがある場合に有効な方法です。骨がつくまでに2ヵ月ほどかかるため、その間にリハビリを行う必要があります。回復までに半年ほど要するので、筋力が衰えやすい高齢者にはあまり向いていません。

予防には筋肉をつけよう

何事も予防が一番です。少しでも痛みがある、曲がってる気がすると感じた時に行動を起こすことが大切です。

まずは、筋肉をつけて、正しい姿勢を意識付けし痛みを出さないことが大切です。

〇大腿四頭筋筋力値の高さは,膝 OA の進行と膝の不安定性と関連していた¹)

〇大腿四頭筋や下肢筋力増強運動は,安静時・動作時の疼痛を軽減させ,関節可動域,筋力,移動能力やQOLを向上させる²).

〇術前リハビリテーションは術後の機能改善と疼痛軽減に有効である³).

つまり、筋肉が少ないと関節への負担が増え、変形しやすくなり、筋肉をつけることで変形・痛みの予防、手術した場合も治りが早くなります。

¹) Sharma L, Dunlop DD, Cahue S, et al.: Quadriceps strength and osteoarthritis progression in malaligned and lax knees. Ann Intern Med 138: 613-619, 2003.
²)Lange AK, Vanwanseele B, Fiatarone Singh MA: Strength training for treatment of osteoarthritis of the knee: a systematic review. Arthritis Rheum 59: 1488-1494, 2008.
³)Jaggers JR, Simpson CD, Frost KL, et al.: Prehabilitation before knee arthroplasty increases postsurgical function: a case study. J Strength Cond Res 21: 632-634, 2007.

まとめ

今回は変形膝関節症について紹介しました。

変形膝関節症は膝の痛み以外にも他の関節への負担も増え、姿勢に大きく関与してくるため、外見も悪くなります。病気は予防が大切ですが、治療を受けた後のケアを行うことも大切になってきます。

たまに痛みがある、見た目が気になる、どうやってケアしたらいいのか?など一人で抱えずに、病院など早めのご相談をお勧めします。

REUP(リアップ)リハビリスタジオ狭山では、全身の姿勢から、筋力トレーニング、ストレッチ、ご自身でのケア方法など目的に合わせてリハビリを行います。一度ご相談ください。